高知県在住の書家で「日浦駿介」という人物がいます。二歳の時に歩き方がおかしいと医師に言われ、検査の結果「家族性ケイセイ対麻痺」という10万人に1人の難病であることが判明しました。
「家族性ケイセイ対麻痺」とは、運動失調を主な症状とする神経疾患の難病で、神経細胞が徐々に破壊・消失していく病気であり、現代医学では完治する療法は見つかっていません。現在彼は、全介護を要する車椅子生活で、体は動かず話すことも出来ません。自分の体の機能が一つ一つ失われて行くのを目の当たりにしながらも、2006年の夏、彼は「書」という生きる希望を自分自身で見つけ出しました。そして現在に至るまで、かろうじて動かすことの出来る右手に筆をくくり付け、彼は命を削りながらも溢れ出る想いを書き続けています。
そんな彼の活動や新年に共感したアーティスト達が、やがて彼の周りに集うようになりました。そんな時に生み出された作品が「笑進笑明」です。
「明るく笑って進もう!」というメッセージは、歩くことも喋ることも出来ない彼から発信された言葉です。彼の言葉は「書」という作品にとどまらず、歌詞として「歌」となり、やがて活動の指針となりました。これが「NPO法人笑進笑明」の前身である「笑進笑明プロジェクト」です。
このプロジェクトを通して様々な人達と関わっていく中で、私たちはこんなことを考えるようになりました。
障がい者と健常者。確かに、生活における行動範囲や、いわゆる<出来ること>に関して、「差」が生じることは否めない。でも、自分の中にある「表現したい」という気持ちに関して「差」は無いはずだし、あってはならないものではないか?
エンタテインメントや芸術表現に関して、それを発信するもの、それを享受するもの、その両者が同じステージを共有し合うことは、極々当たり前のことであるべきではありますが、現状は必ずしもそうとは言えません。
表現するもの、それを楽しみたいもの、そこに障がい者や健常者という区切りのない社会の実現を目指して、私たちは笑進笑明プロジェクトをNPO法人化することにしました。